夏目漱石展の会場最新レポート第2弾~4/20に展示替を行いました!~

会場風景

会場風景

 

会期もいよいよ後半に入った『夏目漱石の美術世界』展(~5月6日まで開催)。展示替にあわせて、何度もお越しいただいているお客さまも多いので、前回に引き続き、会場の最新レポートをお届けしたいと思います。このたびは、4月20日に展示替を行い、15点以上の作品が新しく会場に並びました。ここでは、寺崎広業の《瀟湘八景》(1912年 秋田県立近代美術館蔵)のうち、今期展示の「漁村夕照」と「江天暮雪」をご紹介します。

中国・湖南省を流れる二本の川が合流して洞庭湖に注ぐ瀟湘の地。瀟湘八景は、この中国有数の景勝地から、四季や気象、時刻などの変化に注目して生まれたといわれる山水図の画題です。時を経て日本に伝わるうちに、実際の景観かどうかはあまり重要でなくなり、画家の独創性によりさまざまな情景が描かれるようになりました。広業の作品は、1912年の第6回文展出品作。同展には、横山大観も瀟湘八景を出しており、会場で作品を見た漱石は、両者を比べて「丸で比較にも何にもならない無関係の画」だと作風の大きな相違を述べています。広業の作については、「細い筆で念入りに真面目に」描いてあると述べ、続く記述でも、根気強い丁寧な描写に目を留めていることがわかります。展示中のニ幅は、豊かな自然の中で生きる人々の生活や雪積もる山々を丹念に表現。きめ細かな描写を積み重ねて空気感まで伝えるとともに、気負いのない描きぶりが画家の素直な感性を感じさせる心惹かれる作品です。

広業

左の二幅が寺崎広業《瀟湘八景》。右の二幅は、4月16日のブログでご紹介した今村紫紅《近江八景》(1912年 東京国立博物館蔵 【重要文化財】)。近江八景は、瀟湘八景になぞらえて生まれました。

漱石と親交のあった画家の作品では、橋口五葉の《ペリカン》(1913年 鹿児島市立美術館蔵)が登場しました。もともとデザイン的なセンスに優れた作者が、日本画の装飾性を取り入れて金地に大胆にペリカンを描き、屏風に仕立てたこの作品。周囲には、魚や蓮、とんぼなどを組み合わせた、五葉が得意とするアールヌーヴォー調の装飾文様が廻らされています。本展では、『吾輩ハ猫デアル』をはじめ、五葉が手がけたさまざまな漱石本の装幀が見どころの一つですが、油彩や水彩などの絵画作品も展示していますので、幅広い分野で活躍した五葉の創作活動の一端を感じていただけるのではないかと思います。

五葉・ペリカン

左が橋口五葉《ペリカン》。右は、同じく五葉の《孔雀と印度女》(1907年 鹿児島市立美術館蔵)。

このたびの展示替とほぼ同時期に、当館の所蔵作品展も展示替を行いました。夏目漱石展と先日開幕した「ひろしま菓子博2013」にそれぞれ因み、漱石のその時代に思いを馳せた「恋は宇宙的な活力である」(タイトルは『吾輩ハ猫デアル』の一節からとったもの)と、「和菓子の色彩」という二本の企画で特集展示を行っています。漱石の美術世界を楽しまれた後には、こちらもぜひあわせてご覧ください。

夏目漱石の美術世界展 ~5月6日(月・振休)

所蔵作品展「恋は宇宙的な活力である―夏目漱石とその時代に思いを馳せて」~7月15日(月・祝)

所蔵作品展「ひろしま菓子博2013応援企画 和菓子の色彩」~7月7日(日)

コメントは受け付けていません。