所蔵作品展「美術館のこども部屋」関連企画ワークショップ中間報告!

現在開催中の所蔵作品展「美術館のこども部屋ver.1 ケンビの宝物。名作って何だろう?」では、展覧会とあわせて全8回ワークショップを開催しています。本日、3回目となるワークショップを終え、中間報告としてそれぞれのワークショップの内容、様子をお伝えしたいと思います。

第1回目として開催したのは、「自分を描くってどんなこと?私とあなたを描いてみよう。」(開催日:9月15日(日)10:30~12:00)です。開催当日は、ゴッホ展会期中、今回のゴッホ展の目玉といえば《グレーのフェルト帽の自画像》ということで、自画像や肖像画について考えるワークショップを開催しました。
とはいえ、ワークショップの中心となるのは所蔵作品。本ワークショップでは、靉光《帽子をかむる自画像》と靉光《コミサ》を中心におこないました。最初に大人もこどももまず目を閉じて、自分の顔を思い出します。
「目を閉じて、自分の顔を思い出せた人はいますか?」と参加者に質問をすると…1人(5歳の女の子)を除いて、全員思い出せません。私たちは、日常生活の中であまり自分の顔を見ていない、ということがわかります。続いて、鏡をみながらまずはじっくりと自分の顔を見つめます。(まだ、描きません。)この時に、自分がどんな顔をしているか感じながら観察します。(「楽しそうな顔」、「疲れた顔」、「難しい顔」)じっくり、顔を見た後でいよいよ自画像の制作スタート!見たまま上手に描くのではなく、じっくり見たときに感じた自分の気持ちを描くようにと、なかなか難しい挑戦です。

ワークショップの様子

鏡を見ながら自分を描く!

概ね完成したところで、展示室に靉光《帽子をかむる自画像》を鑑賞し、描かれている人がどんな気持ちかを想像します。自分の気持ちを感じながら自画像を描いた後なので、様々な意見がでます。「月を眺めているところ」、「眠たいところ」、「悩んでいる感じ」など。つづいて、隣に展示されている靉光《コミサ》を鑑賞します。この作品は、靉光が二歳年下の妹・コミサを描いた初期の代表作。こちらも、靉光がどんな思いで描いているのか想像します。ここで、少し作品解説。作品の裏面に秘められた、結婚が決まった妹の幸せを祈り、母親を想う作者の言葉について触れると、こどもたちは真剣な顔。
そして作品鑑賞の後は、一緒に参加している兄弟や友達、家族の顔を描きます。ここでは、相手に伝えたいメッセージを込めて、絵を描きます。最後は、どんな気持ちを込めて描いたかみんなの前でそれぞれお話。自身を描く、大切な人を描くという実体験を通して、より作品鑑賞が深まったようでした。

ワークショップの様子

姉妹で描き合う。どんなメッセージを伝えたいのかな?

続いて2回目に開催したのは、「音が見えたらどんなかたち?聞こえる音を描いてみよう。」(開催日:9月21日(土)11:30~13:00)。ここでは、パウル・クレー《ある音楽家のための楽譜》が中心となります。この日は、当館の1階ロビーでロビーコンサートが行われるということで、クレーの「芸術は見えないものを見えるようにする」という言葉にならい、目には見えない音楽を描くことに挑戦しました。
まずは、ウォーミングアップ。手を「ぱちん」と叩いて、カタチにするなら丸、三角、四角のどれか想像してみます。続いて、トライアングルの「ちーん」という音を線にしてみます。波線、直線、太い線、細い線、色々考えます。その後、カスタネットやマラカスで練習し、さあ本番。ロビーコンサートを鑑賞します。今回はピアノとヴァイオリンの演奏。こどもたちは、じっくりと演奏を聴いて何やら描いています。(4歳から小学生の年頃のこども達が静かにじっと演奏を聴く後姿から、とてつもない集中力を感じます。)つづいて、演奏を聴きながらメモしたパーツを組み合わせて自由に描いてみます。まだ、クレーの作品を見ていないのに、まさにクレーと思わせる作品から、音楽をもとに風景を描くこどもまで。表現は様々です。

ワークショップの様子

2階からロビーコンサートを鑑賞。集中する後ろ姿!

そして、一番最後にパウル・クレー《ある音楽家のための楽譜》を鑑賞します。ここでは、クレーはどんな音楽を想像して描いたのか考え、話し合います。たくさん、想像した後の鑑賞は、発想も豊かでとても自由。これまで挑戦したことのない、音楽を描くという難題に大人顔負けでチャレンジしたこども達はすごい!とあらためてこども達の可能性を感じました。

そして、3回目として開催した「③どこから見たい?いろんなところからみてみよう。」(開催日:10月13日(日)10:30~12:00)。今回は、立体作品をとにかく色々な角度から鑑賞するということに挑戦しました。作品の見方、感じ方は人それぞれではありますが、こどもたちが作品の前をさっと通り過ぎてしまう、そんな姿を展示室内でよく見かけます。そこで、作品をじっくりと味わうためにはどうすればよいか、という発想から生まれたのがこのワークショップです。
まず、いつも通りこども達に展覧会を見てもらいます。見終わったこども達に立体作品をどんなふうに鑑賞したか聞いてみます。すると・・・、特に意識していないためか返答なし状態に。360度、いろいろなところから見た人はいますか?と聞くとそれもなし。ここから、ワークショップはスタートしました。
まずはじめに、ウォーミングアップとして、本展に出品されている宮永理吉《天空の森》を好きな場所、3カ所から見てスケッチをします。できたスケッチ(大型のポストイットに書いています。)を自分が描いた角度に貼り付けます。全員が描きおわると、《天空の森》の周りはこどもたちのスケッチでいっぱいに。それをみんなで一周見てみます。すると、一つの作品にたくさんのカタチや見方がかくれていることがわかります。同じ角度でも、背の高さや感じ方でどうやら見え方は一つではないみたい。

ワークショップの様子

こども達に囲まれる、宮永理吉《天空の森》。

ウォーミングアップを終えて、今度は好きな作品をいろいろな角度から描きます。展示室内の立体作品の周りがスケッチでいっぱいになったころで、1人1枚お気に入りのスケッチにシールを貼ります。最後は、そのシールを探しながら、どうしてこの角度、場所がお気に入りかみんなで話し合います。

ワークショップの様子

ジュリオ・ゴンザレス《人物(鏡の前の女)》をスケッチ。難しい、けど上手い!

 

ワークショップの様子

作品の周りには、さまざまな角度からみたスケッチが貼られています。

ワークショップの様子

見つめられる色絵馬。後姿も人気です。

ワークショップの様子

黒い部分から描いて、最後に輪郭。耳の形もあとで付け足し、なんだか抽象絵画みたい。

ワークショップの様子

八木一夫《扁壷》の周りにはスケッチがたくさん。今まで見えなかった形がたくさん。

ワークショップの様子

横からみるとうすっぺら。前から見ると丸。斜めから見るとレモンの形。

「簡単にかける角度だから」、「一番、面の数が多いから」、「(色絵馬)馬のカタチが一番みえるから」、「きれいだから」、「おもしろそうだから」など、しっかりと作品がみえているようでした。立体作品を鑑賞し、平面にスケッチすることは簡単なことではありません。ただ、こどもたちはみんなしっかりと作品を見つめていました。

次回、ワークショップは「④美術館ってどんなとこ?美術館でクイズ大会!」(開催日:10月27日(日)10:30~12:00、対象:こども(対象:4歳~小学生)※要事前申込)です。昨年の夏休みこども美術館で開催し、とっても人気だったのでパワーアップして開催予定です。芸術の秋、展覧会だけではなく、もっと美術館が楽しくなるワークショップにも是非ご参加ください!

所蔵作品展「美術館のこども部屋ver.1 ケンビの宝物。名作って何だろう?」関連企画ワークショップに関する詳細はこちら。

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所蔵作品展「紹介します。広島県立美術館の新しい仲間たち」10月19日(土)~12月25日(水)

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