広島、瀬戸内からつながる“わ”(その1)

すでにご案内のとおり、瀬戸内しま博覧会「瀬戸内しまのわ2014」に因み、当館では「広島、瀬戸内からつながる“わ”」と題して所蔵作品による展覧会(HPAM(エイチパム)コレクション展)を開催しています。広島県と愛媛県をつなぐ瀬戸内を舞台とする「瀬戸内しまのわ2014」の基調テーマは “島の輪がつながる。人の和でつなげる。” このことから当館での「広島、瀬戸内からつながる“わ”」では「瀬戸内」「輪(和)」「つながり」をキーワードに、展覧会を前後2篇「瀬戸内篇」「平和篇」により組み立てました。

瀬戸内海の魅力は、穏やかな海と多数の島々、温和な気候と多様な生き物、明るい陽光と漂う靄などの自然環境に加え、集落や建物、段々畑や行き交う船舶などに現れた人々の営みと、盛んな海上交通によって積み重ねられた歴史や文化とが、織り込まれて一体となっているところにあります。前篇の「瀬戸内篇」では、このような瀬戸内海の魅力を、風景・厳島・生き物・営み・人・イメージなどの側面からご紹介します。

後篇の「平和篇」では、両大戦間(第一次大戦と第二次大戦の間の時代)から戦後にかけての作品群をご紹介します。この時代は、つかの間の安定から世界恐慌による暗転と対立、戦争への突入、という激動の時代でした。明るい未来と国際平和が夢見られながら、民主主義、資本主義、全体主義、社会主義などが対立し、世界中が巻き込まれ、広島・長崎への原爆投下という悲劇を招きました。このような世相を背景に、洋の東西を問わず、平和と社会正義を求める芸術家の表現活動には共通性を見出すことができ、そこには心の輪が存在していたことを感じさせます。本篇では、こうした混乱と苦難の時代を忘れることなく、当館が瀬戸内の一都市・広島から広げてきた平和と友好のメッセージの輪をご紹介したいと考えます。

次回から出品作品をセレクトしつつご紹介します。今回を含め8回連載の予定です。

(本展担当・主任学芸員・宮本真希子)

miyamoto の紹介

学芸員 宮本真希子

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