美術館の裏側The back of the Museum Art

美術館の裏側


こんなこともしています 美術館3

 当館ではこれまでにも、普段の展示ではお見せすることのない裏方の仕事をご紹介したいと考え、「こんなこともやっています、美術館」と題した特集展示(平成17年度と21年度)を行ってきました。今回はその3回目として絵画作品の修復についてご紹介します。美術館は、美しい展示だけを行っているというイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、その展示を実現するために、実は多くの手間をかけている。そういうところも皆さんに知っていただきたいし、そうした展示も案外新鮮で楽しく観賞していただけるのではないかと思い、様々な裏方仕事の中から、今回は作品の修復・保存の展示を企画してみました。


南薫造《西洋婦人(C)》油彩・画布

 今回展示している中で、一番古い作品という訳ではないのですが、それでも100年近く前の作品になります。いくら油絵具が水彩より強いといっても100年も経つと色々なところが弱ってきます。この作品で一番弱っていたのは、面に塗られたワニス、画面を保護するための透明な膜になっているのですが、時間とともに劣化して白く濁り、曇りガラス越しに絵を見ているみたいになっていました。この古いワニスの除去であるとか、代わりに新しいワニスを塗るなどの修復を行っています。
さらに、そういう作業を行うための点検を行っている時、この作品は画面の下の方、最下部に画面が隠れていたことが分かりました。前の所有者が既成の木枠に合わせて、下側を折りたたんで額に入れていたために下の部分が隠れ、本当の作品とは異なる状態になってしまっていたわけです。そこで、新しく絵の本当の大きさに合った木枠をこしらえて、作家が描いた絵がすべて見えるようにしました。描かれた人物の膝から胸までの奥行きが見えるようになったことで、白い手袋をつけた左腕の下に空気のかたまりを感じられるようになるなど、この画面の中に深い空間が描かれていることを感じることができるようになりました。あわせて、絵としての力を取り戻し、当時の色彩も感じ取ることもできるようになりました。こういうことも修復の醍醐味の一つと言えるでしょう。

 修復というのは、作家の描いた当時を再現することが一番大事、ただ難しいことに、 あまり作り変え過ぎてしまうのも問題で、描いた当時を再現したいのも確かだけれども、そのことが必ずしも絵の感動を保存することとイコールではない、どこを作業完了の目標にするか、修復前の検討が重要になってきます。


小林徳三郎《西瓜》1932年 油彩・画布

 戦前の材料が良くない時期に描かれている1932年の作品。当時はある程度の材料は手に入りましたが、時代の雰囲気が暗かっただけでなく、苦労して、やっと手に入れた絵具とか材料とかも、品質の悪いものが多くて、材料のせいで、徐々に絵具が剝がれてしまうのです。画面から絵具がパラパラとフレークのように剥がれてきて、当館にやってきた時は、今、止めないと絵具が残らない白いキャンバスに戻ってしまうと思われるほどの状態になっていた作品です。真横から光をあて、斜光線写真で画面がどんな状態になっているか確認し、傷んでいるところの、どことどこに何をしないといけないか、厳密に調べました。こういう調べるということが修復の大事な作業になります。将来、より良い修復技術が完成した時に、そのまま今回の修復箇所を取り除き、新たな修復技術で、より良い修復を行うことができるように、正確な記録を残しながら作業をすすめておくことが大切なのです。


神田周三《里の花売りの母子》1931年 油彩・画布

 保存状態がとてもよくなかった作品、火災にもあったのか、あちこちに穴があり、さらには水を被った痕もありました。波うちもひどく、ざっくり裂けた痕もありました。裂けたところからキャンバスが緩んでしまい、そこから波うちがおこる連鎖反応で、ガタガタになっていました。そこで、時間をかけて波うちを減らしていく修復を行いました。
キャンバスより大きな木枠を作り、その木枠とキャンバスの間に紙を貼ります。その後、紙を湿らし、乾くのを待つのですが、乾く間にゆっくり紙が縮み、キャンバスもゆっくり伸びていく、その作業を何回も繰り返すのですが、修復家と、最初にどういう方法で、どこまで作業をすすめていくか、何度も話し合いながらすすめていきました。


井上長三郎《屠殺場》1936年 油彩・画布

 1936年、2.26の事件のラジオ放送を聞きながら描いたという井上長三郎の作品、そういう時世だから政府の圧力があり、発表当時は作品名も「作品」として、写真撮影や印刷物への掲載を禁止するなど、様々な条件の中で発表された作品。当館に作品がやってきた時は、すでに作家は亡くなっていましたが、作者は最晩年に馬の顔などを描き替えていました。描いた当時と作品を発表した当時とは異なることになっていたわけです。最後に描き替えた状態をどうするか。作家のオリジナルを大事にするという定義をどこにおくのか、作者による加筆をどうとらえるか、永い年月をかけて色々な方と相談しながら、最終的には作者が手をかけたもの、描き加えたものを残しながら、画面全体のコンデションを次の時代に維持していけるように修復を行うことにしました。
また、大きな作品なので、画面を守るため、額縁もL字型断面の棹(額縁の外周用の材料)で背面から支えています。額のない作品は画面を守れないため、ほんの少し画面より背の高い額を作り、画面を守るのです。その額縁が作品の雰囲気を壊してしまっては台無しなので、邪魔にならない幅で、また、スポットライトがあたっても作品上に影が落ちないように、少しだけ作品と額縁の間に隙間を作っています。


山路 商《ピエロ》油彩・紙

 山路商、靉光の兄貴分として、大変ファンの多い作家の作品です。
この作品は、油絵具で描かれているのですが、描かれている基材は紙。紙の上に油絵具を使うと時間が経つと紙がパリパリになってしまう。板やキャンバスと違って絵具が縮む力に耐えられないので皺もできるし、年々ひびも入っていく。コンデションの厳しい状態でした。修復作業として、作品の背面から湿度をあたえ、少しずつ引っ張って画面を平らに戻し、紙で作ったハニカムボードに固定します。このボードは歪みにくく、また、酸を含まないもので、これに固定してあげて、さらに裏側から、たくさんの紙リボンで引っ張って固定します。 今ではかなり平らに戻っていますし、画面もクリーニングを行い安定した状態が保持されています。
また、直接空気に触れると劣化が進むので、額縁には、ガラスを入れる必要があるのですが、ガラスはこのような黒い部分が多い作品では鏡のように反射してしまうので、低反射ガラスを使っています。低反射ガラスの厚みは4.3ミリですが、大変重たいものなので、額縁を付けた作品はとても重たくなってしまいます。小さな作品も、一人では運べなくなってしまう場合もあり、そういったケースでは、今後の展示作業には必ず人手が必要になります。修復時にはそういうことも考えて、たくさんの事を決めながら作業を進めていかなくてはいけません。


靉 光《風景》1944年 油彩・画布

 こちらは、山路を兄と慕っていた靉光の作品。
キャンバスに板が貼られていて、変だなと思いましたが、なにより、板とキャンバスでは収縮率が違うので、そのままでは損傷速度が加速してしまいます。そのため、キャンバスに戻す作業をおこないました。キャンバスと板は接着剤で直接貼り付けてあり、修復家の方に丹念に時間をかけて剥がしてもらったのですが、剝がしていくと、なんと裏から絵が、、、その裏の絵は、作品の裏側にまわっていただければ、そのままの状態で観ていただけるようにしています。逆立ちした形になっていますが、風景のようなものが描かれているのがご覧いただけると思います。それも何層も重ねて描かれていて、削り落としては描き、削り落としては描きを繰り返していたと思われます。描いたのは誰なのか、この時代はお友達に古キャンバスを譲ってもらって絵を描くこともよくあったので、これが靉光の作品かどうかはわかりません。ただ、新しい作品が見つかるとうれしいですよね。この作品では、裏の絵も、すべての画面が見えるように、絵の外に外枠になるように布を張り付けて、端を巻き込むように大きな木枠をつけています。そうすることで新しく発見された絵の描かれている画面がすべて見える状態になった訳です。

裏からでてきた画像

横山大観《井筒》1897年 絹本彩色

 若いころの名作。この絵もファンが大変多い作品です。
撫子がたくさん描かれていますが、白いところが、胡粉の垂らし込みで描かれていて、しかも掛け軸。掛け軸は軸で巻いていきますよね。軸で巻く、つまり細い筒状に巻きつけていくわけです。皆さんもポスターなどを細く巻くと嫌な癖や巻皺がついてしまったりといった体験をされたことがあると思いますが、それは、巻き上げる棒が細ければ細いほど、きつくなってしまいますよね。さらに、絵具は軸が細く巻かれることについていけない。胡粉などは柔軟性がないので、砕けてしまい、ポロポロ取れていってしまう。当然そこは修復するのですが、今までと同じように巻くことを続けていれば、いつまでもこうした損傷が繰り返しおこってしまうわけです。その意味でも傷む原因は無くしていかないといけませんので、今回は太巻きを作りました。一番下の軸を太くするアダプターのようなものです。円筒状の筒を下の軸にパカッと被せる、そして、太くなった軸で巻き上げていく。細い軸で絵具が砕けていたのを、太い軸にすることで、アールを大きくして防ぐわけです。そういうことなら、すべての掛け軸に全部やればいいのではないか、と思われるかもしれませんが、なかなかそうはいかない理由があります。オリジナルを損なわないため、例えば、精密に作られた収める箱も軸が太くなれば、新たに大きなものを作る必要がでてきます。この作品の場合、木箱に横山大観自身が書いた井筒という文字がありましたので、元の箱から、新しい箱に移植をしました。完成したものを見ると当たり前にできているように見えますが、職人技が必要で、経費も嵩み、立て続けにできることではありません。イメージが変わらないように、オリジナルを保ちつつ古い箱から新しい箱へ移行すること、このように、オリジナル性を保ちながら、一番安全な方法で作業をしていくことが、我々に求められていることだと思っています。

おわりに

 今、過去の美術品を目にして感動するのと同じように、子や孫の世代、100年後の人々にも同じ姿で作品を残していくこと、伝えていくことが我々の仕事だと思っています。たとえば、もし、新しい修復方法が確立されて今の修復に問題点が見つかった場合などには、今の修復を取り除いて、新たな修復ができるような修復方法を選ぶことも大切です。
加えて、傷まない環境を作っていくことが大切です。よく、美術館は、夏は暑いし、冬は寒いなというお声をいただきます。まったく逆の感想をお聞きすることもありますが、これは、作品の保存に最適な温湿度を保っているためです。作品を守る環境を維持するということ、そういうこともお伝えできるかな、というのも、今回の展示の目的の一つでした。
美術館が、今、感動を与えてくれる作品が、次の世代の人にも同じように楽しんでもらえるようにするためには、どのようにしたら良いのか考えているということを知っていただいたうえで、作品を鑑賞していただくと、作品をより深く楽しんでいただけるのではないかと思います。どうぞご来館いただき、実際の作品を、修復によって蘇った、本来の美しさをとりもどした作品をご覧になってください。

広島県立美術館 主任学芸員
 角田 新

展示のための照明 今回はスポット・ライトのLED化です。

当館でも頻繁に使うスポットライト、エルコのEXシリーズです

 

これからご紹介するお話、実は昨年の「ウクライナの至宝」展を準備しているときに用意したものです。ところが当時の私の能力では、このブログへの動画の貼り付け方が解らず諦めたのです。何しろ展覧会の準備だけで”てんやわんや”なのに、ブログの使い方を”ああでもないこうでもない”と悩んでいる訳にはいきませんからね。

そんなこんなで、以後、動画の投稿は出来ないものと思い込んでいたのですが、先日その話をしていると、山下学芸員が携帯電話から動画をUPして見せてくれました。「できるんだ〜!!」と、皆んな驚いた訳ですが、さすがは山下さん、若手のホープだけあってITもバッチリ。それにひきかえ、私などは電子ものはサッパリです。しかし、そこで諦めてしまっては益々老け込んでしまうというもの。早速動画の入ったブログに挑戦です。

前置きが長くなってしまいましたが、今日は照明のお話です。照明は本当に難しいもので、我々が一生懸命考えた照明も沢山の方から非難を受けることが少なくありません。特に多い苦情は「ガラスが光って作品がよく見えない」と、「会場が暗くて解説が読みにくい」です。また非難が集まる作品には傾向があって、概ね特別展で他館からお借りした作品。それも、個人所蔵の作品や海外の美術館が所蔵する作品が圧倒的に多いのです。この理由は簡単で、画面保護のために入れられているガラスやアクリル板が古い時代のものなのです。作品を大事にしたいと考える人にとって、画面に保護用のガラスやアクリルを入れるということは当然のことです。

極端な話、画面に直接触ろうとするお客様もいらっしゃいますし、画面の前でクシャミをされる方もあります。そうでなくても空気に含まれる埃などが温度や湿度の変化に伴ってガラス面に付着していきます。もちろんガラス面の清掃はしていますが、ガラスやアクリルも永久不変という訳にはいきません。経年劣化と呼びますが徐々に透明度が失われていくのです。早くから作品保護に取り組んだ歴史のある美術館や、何台も続く個人コレクターの作品にこうした傾向があることは、ある意味、当然の結果とも言えるでしょう。

一方、ガラスやアクリルの製造精度は現在、飛躍的に高度なものになっています。例えば古い時代のガラスは、一般的にガラスそのものの色が強く、硝子越しだと風景が緑色に見えることを経験された方も多いのではないでしょうか。最近の美術館ではミュージアム・グラスなどと呼ばれ、鑑賞の妨げにならないほど色の影響を抑えたガラスが使われるようになっていますし、低反射ガラスと呼ばれる反射や写り込みが起こりにくいガラスを使うことも多くなっています。

とはいえ、歴史のある美術館や何代も続くコレクターの方などは、ガラスやアクリル板なども作品に付随する資料と考えたり、先代の趣味を尊重したりと、最新のものに交換しない、あるいは交換できない場合も多々あるのです。展覧会場で「画面が光ってよく見えない」とか「ガラスが汚い」などのご指適をうける作品の多くが、こうした「オリジナル」のガラスやアクリルの付いた作品なのです。いくら我々がその問題を何とかしたいと思っていても、他館の所蔵品に口出しはできません。そうすると残る手段は照明でカバーすることだけです。

しかしこれが本当に難しい。一つには建物の問題があります。天井の何処にでも自由に照明を取り付けられるなら、それほどの苦労はありません。しかし、実際には、天井に何列か取り付けられたレールにしか照明器具を付けることはできないのです。一番反射の少ない位置にスポットを取り付けようと思っても、そこにレールが無いこともしばしばですし、動線も意識しなければいけません。動線というのは、この場合お客様の進行方向ですね。画面が光らない向きにこだわりすぎると、進んできたお客様の正面にスポットが光っているということになりかねません。こうしたスポットの光が目に入ってしまうと、しばらくは目の中に残像が残って鑑賞どころではなくなってしまうでしょう。

他にも、展示室全体の明るさを考えることもあります。例えば、展示室が全体的に暗くなっている場合など、作品保護や雰囲気作りのためだけでなく、「背後の壁に掛けてある作品が反射して写り込むのを防ぐため」というのが本当の理由の場合もあるのです。

多くの方から「勉強不足」だとお叱りを受けることの多い展示室の照明。我々の力不足は否めません。しかし、実は他館の照明なども研究し、可能な限り様々な工夫を凝らしているということは知って頂きたいと思い、今回はその一端をご紹介させて頂くことにしました。

さて今回、力を入れてご紹介するのはスポットライトのLED化です。このスポットライト、当館に導入した当時は業界の最先端。「世界最高水準の照明効果」と評価の高かったものです。実際、大変有用な機材として活躍しましたが、導入して既に10年以上。この種のものも日進月歩で、変化するときはドカンと変わってしまいます。本当は予算措置をして、照明器具を現代的なものに更新するべきなのですが、景気低迷の昨今、公立美術館で設備の更新を行うというのは簡単なことではありません。そこで今回はその「繋ぎ」の方法を考えたのです。

実は、考えたのは私ではありません。ある人から「こうした手法があるよ」と教えてもらったのです。この手法に注目したのには3つの理由がありました。第1に、現在所有しているスポットライトを無駄にしないですむ。第2にLEDは発熱量が少ないためケース内での使用が可能になる。第3に球切れの心配が少ない。ということです。

まず第1点ですが、新しい機材を購入する余裕がないことも事実ですが、今ある機材を大事にしたいという気持ちも本当です。「使えるなら使ってあげたい」と思っていたので「良かった〜」という気持ちが湧きましたね。

そして第2の熱が出ないことも大事。今まで展示ケース内の展示には、スポットライトを使うことが殆どなかったのです。というのも、今までのスポットライトは、大きさこそ小さいものの裸電球と同じで、光だけでなく熱も発するハロゲン球が入っていました。特にハロゲンの場合、点灯してほんの数秒で触れないほど熱くなります。しかし、美術館での展示環境は、一年を通じて温度は22℃、湿度55パーセントを守ることで作品を保護しているのです。そんな中、小さな密閉空間である展示ケース内に熱源になるスポットライトを入れることは自殺行為としか言いようがありません。ところが、このLED、殆ど熱を出しません。実際には電圧調整や、様々な制御回路から熱は出るのですが、裸電球に比べれば皆無と言っても差し支えありません。

また3点目の球切れの可能性が殆ど無いことも重要です。裸電球の場合、その寿命はハッキリ言って運まかせ。昨日換えても今日切れる短命なものもあれば、開館当時から一度も換えていないものまで、本当にバラツキがあるのです。それなのに、スポットライトの球を交換するには、天井に取り付けた器具を直接分解する必要がありますが、天井の高さが4.5メートルもある美術館の場合、4メートル近い高さの脚立か足場を運び込む必要があるのです。当然、十分なスペースが必要になります。特に入り組んだ展示の場合やケース内の球換えだと、安全を確保するために、展示作品を動かさなくてはいけなくなります。これはなんとしても避けたいことです。というのは、面倒だから避けたいのではありません。作品にかかるリスクの問題なのです。動かす回数が増えれば、それだけ事故が起こる可能性も増えます。予見できるリスクであれば最大限の努力を払って回避するのが私たちの仕事。そのため、今まではそうした展示は避けざるを得なかった訳です。しかし、LEDであれば、球切れの可能性は皆無に等しい。展示の可能性が飛躍的に高まります。

そんな訳で、「ウクライナの至宝」展ではウオールケース(壁面作り付けのガラスケース)内にもLEDに交換したスポット・ライトを設置して、黄金製品のキラキラ感を演出することができたのです。効果としては・・・・まあ、悪くはなかったのではないでしょうか。

当館でも使用頻度の高いエルコのEXシリーズというスポットライトです。本体は共有ですがヘッドのタイプはスポット、フロッド、ウオールウオッシュなど様々なものがあります。当館では主に90mmと125mmのスポットライトを使用していて、125mmのヘッドでは100w、90mmのヘッドには50wの電球を使います。これは小さめのヘッドで90mmです。

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拡散用のレンズを紹介しています。

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色温度調整用の青レンズを紹介しています。ハロゲン・ランプはいわば電球なので光にも独特の赤みがあります。光の色は色温度(単位はカルビン温度:°k)という尺度で表現されますが、お昼間の太陽から照射される光がだいたい5000°kハロゲンランプは3,200〜3,800°k。蛍光灯はだいたい5,000〜6,000°kなので併用すると光が青かったり赤かったりと斑になってしまいます。そのため、色温度調整用のレンズを使って相対的な赤みを取ってあげているのです。この青レンズ1枚入れただけで、色温度は大体4,000°kまで上昇します。目に付かない部品ですが大きな役割を果たしていた訳です。

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紫外線と赤外線を除去するためのフィルターです。

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スポットライトとはいえ、このヘッドの中に入っていたのは拡散用のリフレクターでした。

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いよいよ分解開始。まず電球の破裂に備えた飛散防止用のレンズを取り外します。

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リフレクターを固定しているクリップを抜きます。

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リフレクターも不要なので抜き取ります。

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スッカラカンになったスポットライトのヘッド部分です。

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代わりに入れるLEDランプ。照射角は36°、色温度は4,000°kです。

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小さいような大きいような微妙な大きさです。一見大きくも感じるのですが、よく見ると小さなLEDが四つも並んでいます。しかも、この中には制御回路の冷却用ファンまで内蔵されている優れもの。用途に応じて照射角や色温度も選べますし、本体のボリュームスイッチで明るさの調整も可能です。

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さあ、完成です。これがどんな光を発しているか?ご興味をお持ちになった方は、展示室でお探しになってみてください。こんな小さな機械から、こんなに強い光が出るなんて驚かれるのではないでしょうか。

ただ、結構まぶしいので、もしも確認されるなら展示を見終わってから挑戦されることをおすすめします。

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今回用意したフィリップス製のLEDは40w相当だそうですが、見た目の効果は50wと100wの中間くらいの感じで、展示効果には全く遜色ありません。

 

同業者の皆様。もしかしてなにかのご参考にでもなれば幸いなのですが、この方法には既に解っている「穴」が1点あります。それは、エルコEXシリーズの本体に大きく分けて新旧2タイプ有ることに起因します。旧式の本体(調光ダイヤルが大きくてパイロットランプが赤色LEDむき出しのタイプ)はこの方法で問題有りませんが、新型(調光ダイヤルが小さくてパイロットランプがリング状のカバーで覆われた格好いい方)はデジタル回路の相性が良くないようで、継続的に点灯することが出来ません。もしも導入を検討される場合は十分ご注意ください。