学芸員として美術館の運営に携わる神内さん。言葉の端々から美術が好きと伝わってくる、そんな学芸員さんにお話を聞きしました!
学芸員
神内さん
楽しく観てもらうために
神内さんはどのようなお仕事をされているのですか?
展覧会やイベントの企画や運営、作品の調査などをしています。

神内さん
そうなんですね。具体的に言うとどのようなことをされているのですか?
展覧会って実はいろいろな狙いがあるんです。例えば、普段あまり目を向けられない作品に関心をもってもらおうとか、作品にちなんだ文化や歴史・技術をよりたくさんの人に知ってもらいたいとか、子どもたちにもよりわかりやすく楽しんでもらいたいとか。それぞれテーマがあって、それに向けてどうすれば伝えられるか、楽しんでもらえるかを工夫するのがわたしたち(学芸員)の仕事ですね。

神内さん
そうなんですね!でも形になるまでが大変そうですね。
そうなんです。ただ観てもらうだけじゃなくて、正しく知ってもらう、楽しく観てもらうためにはどうすればいいかなをてとても悩みますね。でも悩んだ分だけ、成功したときは達成感がありますし、自分で工夫して伝えたいことを表現して、それを楽しんでもらえたらすごく嬉しいです。

神内さん
知れば知るほど好きになって
苦労した分、楽しんでもらえるとうれしいですよね!
はい!そのためにも調査はもう一つの重要なお仕事なんです。

神内さん
そうなんですか?調査というのは何を調べるのですか?
作品が持っている意味、作家が作品に込めた想いやメッセージ、作品が創られた時代の社会的な背景や役割、歴史的な価値などを調べます。古い文献などの資料を読んだり、風景画であれば現地に直接行ったりもしますね。

神内さん
いろいろなことを調べるのですね。
そうですね。きちんと作品を理解しておかないと、作品が伝えようとしていることをうまく説明できなかったり、展示するときの並べ方や見せ方もおかしくなってしまったりするので。

神内さん
そうなんですね。展覧会やイベントを成功させるためにも調査ってとても重要なんですね!
そうなんです!調べるのはとても大変ですが、作品のことを知れば知るほど興味がわいてきますし、あれはこれはと一つ一つ推理していく過程は謎解きのようですごく楽しいです(笑)作品の新たな価値を見出していくことも美術館の役割の一つですので、調査をすることで歴史的に価値のある作品や、失われてはいけない大切な作品を一つでも未来に継承していくことができたらうれしいですね。

神内さん
美術館とは新しい価値観と出会う場所
作品について知るっていうのも楽しみ方の一つなんですね。
そうですね。作品の楽しみ方って観るだけじゃないんですよね。観て、描かれている人物や物、色合いや風景からいろんなことを感じてみたり、作品のことを調べてみたり、自分の気持ちと照らし合わせてみたり。

神内さん
気持ちと照らし合わせてみるというのは、どういうことでしょうか?
作品ってきれいなものだけじゃないですよね。きれいだな、好きだなって思うものもあれば、もやもやするもの、好きになれないもの、なんだろうって感じるものもあると思うんですね。そう感じたときに、なんで好きなんだろう、なんで嫌いなんだろうって自分の気持ちや価値観にも目を向けてみるんです。普段なかなか考えないことだからこそ、目を向けてみるとすごく考えさせられたり、なにか気づきや発見があったりするかもしれません。展覧会を観るときはそういう視点で、心が惹かれた作品と違和感をもった作品とを観比べてみて、なぜそう感じるんだろうと考えてみると新しい自分や価値観に出会えるかもしれません。

神内さん
そうなんですね。そういう楽しみ方もあるんですね。ありがとうございます!とても参考になりました!
どういたしまして(笑)ぜひ美術館で密やかな時間を楽しんでください。

神内さん
学芸員として美術館の運営に携わる岡地さん。
独特な視点と発想で作品と向き合うユニークな学芸員さんにお話を聞きました!
学芸員
岡地さん
作品と触れ合う瞬間
岡地さんはどのようなお仕事をされているのですか?
展覧会の運営と作品管理ですね。作品の並べ方など展覧会の構成を考えたり、関連のイベントを考えたり。そのために作品を調査したり、作家さんのところへインタビューに行くこともあります。
作品管理は、簡単に言うと作品のお手入れですね。汚れたり傷んだりしないように保護したり、収蔵庫の清掃や害虫などの点検をしています。

岡地さん
そうなんですね!いろんなことをされているのですね!一番やりがいに感じられるところはありますか?
そうですね。作品と触れ合えるところかな。学芸員にもそれぞれ専門分野があって、わたしは工芸が専門なんですが、工芸作品って触ってみてわかることがたくさんあるんですよ。重さとか質感とか持ちやすさとか。仕事しながら作品と触れ合えるのは楽しいですね♪

岡地さん
確かに作品に触れる機会なんて普段はないですよね。うらやましいです。
美術館で仕事しているからこそって感じがしますね(笑)ただし、作品はとても大切なものなので、取り扱いにはとても注意してますよ。壊したり傷めたりしたらいけませんので。

岡地さん
いろいろな角度から見て楽しむ
岡地さんの好きな作品はなんですか?
河井寛次郎さんの作品が好きですね。あと色絵馬も好きです♪

岡地さん
どんなところが好きですか?
どちらも見る角度によって雰囲気が違って見えるのがおもしろいですね。作品は人によって見え方やとらえ方が違ったり、見る角度やまわりの雰囲気によっても別のものに見えたりすることがあるので、いろんな目線で何度も見てみるとおもしろいですよ。

岡地さん
そうなんですね。今度観にきたときにやってみようと思います。
ぜひいろんな見方をしてみてください。まずは自由に、それぞれの好きな見方で楽しんでもらうのが一番だと思います♪

岡地さん
わかりました!岡地さん、ありがとうございました!
展示室で看視員をされている吉田さん。少しでもお客様に楽しんでいただきたいとがんばる看視員さんにお話を聞きました!
看視員
吉田さん
お客様に気持ちよく鑑賞していただきたい
吉田さんはどのようなお仕事をされているのですか?
看視員をしています。

吉田さん
かんしいん・・・?初めて聞きました。どんなことをされるお仕事なのですか?
お客様へ鑑賞するときのルールやマナーについてご案内をしています。たとえば、展示品には触らないように声をおかけしたり、電話をしたい方がいらっしゃった場合は休憩室へご案内したり、という感じですね。

岡地さん
そうなんですね。観るときのルールとかマナーって意外と知らないので助かります。
そうですね。お客様に気持ちよく鑑賞してもらうことが一番なので、失礼にならないよう気をつけながらご案内や声かけをさせていただいてます。鑑賞中にもし何かあれば遠慮なく声をかけてくださいね。

岡地さん
はい、そうします!ありがとうございます!
お気に入りの作品を見つけてもらえたらなって
ところで、吉田さんはおすすめの作品とか好きな作品ってありますか?
そうですね。ここ(広島県立美術館)のおすすめならやっぱりダリのヴィーナスの夢と柿右衛門の伊万里焼だと思いますね。1年を通していつでも観ることができますし、来たら必ずと言っていいほど観てもらいたい作品です!原爆に関する作品や広島ならではの作品も多くて、それを観に外国や遠方から来られるお客様もいらっしゃいますね。個人的には村上華岳の菩薩図もおすすめですね。心が落ち着くというか、温かみがあって親しみやすい感じが好きです♪

岡地さん
そうなんですね!いろいろな作品があるんですね。でもどういう風に作品を観れば楽しめますか?美術ってあまり詳しくないからよくわからないんですよね。
そうですね。まずは一目見て、好きか嫌いかで判断してみてはどうでしょうか?美術作品って知識がないと観れないとか、理解が難しいとか思われがちですけど、全然そんなことないと思いますよ。自分の部屋に飾ったらどうかなぁとか自分なりの視点で入っていくと楽しめると思います!

岡地さん
そうなんですね!それでは、まずは観てみるってところからですね!
そうですね!観ることに慣れてから、作品のことを知っていくといいと思います。作品にはそれぞれエピソードや謎解きのような制作話などがあって、調べていくとけっこうおもしろいですよ♪

岡地さん
へぇ。そうなんですね。美術って奥が深いんですね。
そうなんですよ。なので、あまり難しくとらえずに、まずは気軽に観に来ていただいて自分のお気に入りの作品を見つけてもらえたらいいなぁと思います♪

岡地さん
わかりました!観に行ってみます!ありがとうございました、吉田さん。
美術館の警備をされている黒川さん。
広島県立美術館が開館した時から働いていらっしゃるのだとか!
そんなベテラン警備員さんにお話を聞きました!
警備員
黒川さん
美術館ならではだなって
黒川さんはどのようなお仕事をされているのですか?
美術館の警備ですね。開館前に館内を巡回しながら点検したり、点検中に作品に異常はないかを確認したりしています。展示室の開け閉めや照明の点灯消灯などもしていますね。

黒川さん
そうなんですね。警備って点検とか監視のイメージが強いからちょっと意外です。
そうですね。展示室の開け閉めや照明の点灯消灯は美術館ならではだと思います(笑)

黒川さん
そうですよね(笑)ほかに美術館ならではだなって思うところはありますか?
巡回中に展示作業が見られるところかなぁ。作品を運んだり、展示したりしているところは普段なかなか見ることはできないし、見たくても見せてもらえるものじゃないので、とても興味深いですよ♪

黒川さん
警備員として、美術好きとして
そうなんですね。黒川さんは美術が好きそうですね。
最初はそこまでだったんだけどね。美術館でお仕事をするようになってから興味を持つようになって、今ではすっかり美術館巡りが趣味になりました(笑)ここ(広島県立美術館)の展覧会はもちろん、県外の展覧会とかも行ったりしてますよ!

黒川さん
すごいですね!いろんな展覧会を観に行かれているのですね。今まで、一番印象に残っている展覧会ってなにかありますか?
一つはオランジュリー美術館展かな。もう一つは東山魁夷展。どちらも普段なかなか観られない貴重な展示品ばかりの展覧会だったけど、ここ(広島県立美術館)でやってくれたから観ることができたんだ。とてもうれしかったなぁ♪(笑)

黒川さん
そうなんですね。貴重な展示品ってどのようなものですか?
たとえば、オランジュリー美術館展だとフランスの国宝級の作品たちが展示されていたし、東山魁夷展だと1年でも数日しか公開されない唐招提寺の障壁画が展示されていたんだ。他の美術館でやっていてもきっと観に行ったと思うよ。それくらい貴重なものだったから観ることができてとてもありがたかったし、その最中に警備として作品たちの中を巡回できたのはすごくうれしかったなぁ。

黒川さん
実物を生で観るのが一番!
そうなんですね。そんなに貴重なものを間近で見られるって、なんかいいですね。
そうだね。なかなかない機会だと思うし、なにより目の前で観ることができる。写真や新聞で見るよりもやっぱり実際に観たときの感動は比べものにならないからね。実物を生で観るのが一番だと思うよ!

黒川さん
たしかにそうですね。ぼくらも今度観に行ってみましょうか。
展覧会は滅多に観られない、あるいは二度と観られないかもしれない作品を観るチャンスだからね。機会を逃さないように少しでも興味があったら気軽に行ってみてはどうかな?

黒川さん
そうですね。そうします!黒川さんありがとうございました!
どういたしまして。楽しんできてください(笑)

黒川さん
美術館の清掃をされている尾山さん。みんなが気持ちよく過ごせるようにとがんばる清掃員さんにお話を聞きました!
清掃員
尾山さん
お客様からの一言で
尾山さんはどのようなお仕事をされているのですか?
美術館全体の清掃をしています。美術館の中やエントランスはもちろん、トイレや外回りなどもしております。

尾山さん
そうなんですね!美術館がいつもきれいなのは清掃の人のおかげなんですね!
ありがとうございます。そう言っていただけるとうれしいです♪お客様からもときどき「いつもきれいにしてくれてありがとう」と声をかけていただけるときがあって、とてもうれしくやりがいに感じています♪

尾山さん
そうですよね!お礼を言われるとうれしくなりますよね。
観方を変えるたびに味わい深くなる楽しさ
尾山さんは、美術にご興味はありますか?
そうですね。美術館でお仕事をさせていただくようになってからいろんな作品や画家に興味を持つようになりましたね。美術館へ行く機会も増えたと思います。

尾山さん
そうなんですね。おすすめの作品などありますか?
特別展はもちろん魅力的なんですが、所蔵作品展もぜひ観ていただきたいですね。いろんな分野の作品がたくさん展示してあるので見ごたえがありますし、お気に入りの作品や画家を探してみるのもいいと思います。個人的におすすめは菅井汲の青い太陽とか丸木位里のラクダとかですね♪

尾山さん
そうなんですね!どのような作品ですか?
そうですね。実際に観てもらうほうがいいかもしれないですね。最初はそのまま作品自体を観てもらって、自分なりの感想をもってもらう。それから次は音声ガイドを聞きながら観てみたり、学芸員さんに解説をしてもらいながら観たりですね。そうすることで作品を何度も味わうことができますし。

尾山さん
確かに印象を聞いてから観るより、初見で観たほうが新鮮な気持ちになれるかもしれませんね。
そうですね。家族や友人さんと一緒に感想を共有しながら楽しむのも一つですし、一人で自分だけの視点を楽しむのも一つかなと思いますね。複数人でも一人でも過ごせるというのも美術館の一つの魅力だと思います♪

尾山さん
そうですね!たまには1人で観にきてみましょう!
はい、ぜひそうしてみてください♪

尾山さん
美術館の様々な設備を管理している前田さん。美術館を技術で支えるエンジニアさんにお話を聞きました!
設備管理
前田さん
美術館を陰で支える
前田さんはどのようなお仕事をされているのですか?
美術館の電気や空調を管理したり、機械設備や消防設備などの運転や監視、点検や設備をしています。

前田さん
そうなんですね。美術館ならではの仕事だな、と思うところはありますか?
そうですね。温度や湿度の管理は一番気をつけていますね。作品を管理するためにも館内の温度や湿度は重要なので。

前田さん
そうなんですね!普段はわからないですが、美術館を支えてくださっているんですね。ありがとうございます!
窓から望む庭園風景
前田さんは、美術にご興味はありますか?
ぶっちゃけるとそんなに興味ないですね。博物館のほうが興味あるかも(笑)

前田さん
そうなんですね。(笑)
でも、特別展とかは毎回すごいなって思うよ。お客さんもたくさんきてるし、おもしろい作品もたくさん展示されているしね。

前田さん
そうですよね。多いときはすれ違う隙間もないくらいに混むこともありますよね。
そうだね。たしかに混む時はすごいよね(笑)
あ、そうそう。特別展もすごいけど、所蔵作品展も観て帰ってほしいなって思うよ。ヴィーナスの夢とかいろんな作品が展示されているし、特別展に負けず劣らず楽しめると思うんだ。

前田さん
興味ないっておっしゃってましたが意外とご存知ですね!
まぁちょっとだけね(笑)作品だけじゃなくて、隣にある縮景園もきれいだと思うよ。ここ(広島県立美術館)の3階の大きな窓からも庭園の景色が見えるんだけど、桜や紅葉の季節なんかはとてもきれいだよ。仕事で疲れたときに見かけると気分が晴れる気持ちになるね♪

前田さん
そうなんですね!美術と庭園の両方が楽しめるっていいですよね。今度わたしも3階の窓から景色を眺めてみます!お仕事忙しいのにお話を聞かせていただいてありがとうございました、前田さん!
どういたしまして!

前田さん
美術館で職員をされている藤井さんと一色さん。陰から美術館を盛り上げる、そんな縁の下の力持ちのお二人にお話を聞きました!
総務
藤井さん・一色さん
お客様により楽しんでいただける環境づくりができれば
お二人はどのようなお仕事をされているのですか?
運営に関する労務管理や経費管理、各種事務手続きを主に担当しています。隣接する縮景園や県立の施設なので、広島県庁との調整、イベントの企画や実施・広報なども行っています。

藤井さん
そうなんですね!縁の下の力持ちって感じですね!お仕事でやりがいに感じるところはどのようなところですか?
展覧会やイベントを通じて、来館していただいたお客様に喜んでいただけたらとてもうれしいです!お客様と直接関わる機会は少ないですが、職員のチームワークを大切に、お客様により楽しんでいただける環境づくりができればこれ以上のやりがいはないと思います。

一色さん
そうなんですね。お客さんのことを第一に考えていらっしゃるのがとても伝わってきました!
いつ来ても楽しんでもらえる
お二人は好きな作品などはありますか?
やっぱり当館(広島県立美術館)のシンボルでもある色絵馬です。愛くるしい表情や風格は見飽きることがないです。世界に5体しかないもののうち、2体をここ(広島県立美術館)で観られるというのはとても貴重なことだと思います。

藤井さん
ありがとうございます!私達のことを言われるのってなんだか照れくさいですね(笑)
一色さんのお好きな作品は何ですか?
ダリのヴィーナスの夢や伊万里焼などもおすすめです。ほかにも当館(広島県立美術館)では西洋画・日本画・日本洋画・工芸などの様々な分野の作品を一堂にご覧いただくことができますし、季節ごとに展示替えも行っているので、いつ来ても楽しんでいただけると思います。

一色さん
そうですね!いろんな作品をじっくりご覧になって、そのあとは縮景園を散策してみるのもいいと思います。美術館は作品を保護するために照明を少し暗くしてあるので、感性の高まった鑑賞後にご覧いただく庭園風景は目にも鮮やかに感じていただけるのではないかと思います。

藤井さん
そうなんですね!そういう楽しみ方もあるのですね。いろいろ教えてくださってありがとうございます!お二人とも最後に一言お願いしてもよろしいでしょうか?
実物の色絵馬、あかとしろに皆さんぜひ会いにきてください!お待ちしてます(笑)

藤井さん・一色さん
みなさんぜひ私達に会いにきてくださいね♪
うーん、やっぱり少し恥ずかしいですね(笑)
そうですね(笑)